15:第1回全日本自転車競技ロード選手権大会(1998年)
<プロ・アマオープン最初の国内選手権>


世界における自転車競技は、1996年ロード競技がプロアマオープンで開催され、すでに1993年から実施されていたトラック競技と足並みをそろえることになっていた。このため従来からの国内連盟傘下プロ・アマの二連盟所属選手が一堂に会して行う国内選手県の開催は、国際自転車競技連合(以下・UCI)加盟の国内連盟として避けられない事業であった。

やっと2年経過、世界各国のUCI加盟国が開催する6月下旬から7月にあわせ、本年7月5日に第1回大会が実施された。会場となったのは広島森林公園特設コースで1994年のアジア大会で初めて使用した場所である。アジア大会後広島自転車競技連盟は、UCI規約に適合したこののコースで全国大会誘致に乗り出していた。


<広島森林公園特設コースの図>

プロ・アマオープンでレースカテゴリーは年齢別になり、オリンピック、世界選手権ともU23が加わった。すでに国内でのU23は、すでに1996年から行われ本年は第3回目がアマチュア選手権大会に組み入れられ終了していた。
参加資格は従来と同じく日本に国籍日本連盟登録競技者のうち1997年ロード日本自転車競技連盟の総合ランキング200位以内よりの上位選手とプロ車連推薦選手の計120名であった。すでに分類されていたロードプロ、アマチュア、競輪選手の23才以上の登録者での大会であった

第1回大会のエントリーは75名であった。競輪選手のエントリーはなかった。国内最強レースには短距離の競輪選手では太刀打ちができないためであった。

実業団上位チームの有力選手のエントリー状況は次の通りであった。(チーム名は開催当時のもの)

・シマノ 
(10)野寺秀徳、今西尚志 (3)松井久 井上雅文 
(6)住田修 (2)阿部良之、菊田潤一(プロ登録)

・ブリヂストン
渋谷淳一、藤田晃三、(5)鈴木真理、(10)田代恭崇、福島晋一、(欠)岡田哲也

・ミヤタスバル
(9)真鍋和幸、館 正成、行成秀人

・愛三工業
坂口 博、田中光輝、沼田雄一、横井彰人

・YCST
柿沼章、狩野智也、潮上史生

・アコムラバネロ
(1)飯島 誠、清野慶太、新保光起

・イノアックデキ
鈴木新史、岡崎和也、(4)藤野智一、山田隆博(プロ登録)

・プロチームEZAK
中島康博、三浦恭資、森幸春、(欠)三船雅彦

橋川 健(トスタイニコルナゴ)個人参加
*氏名先頭カッコ内数字は前年のランキング

梅雨が空けきらない時期、高所にある広島空港を囲んで周回するコースは風が強く気候状況が悪いため、予定の180q、周回数を減じた156q(12q×13Lap)で行われた。

エントリしていた選手のうち森幸春、福島晋一をはじめ6名の選手が欠場69名のスタートとした。
レースは早くも1周回、坂口博(愛三)を先頭に行成秀人(ミヤタ)藤野智一、三浦恭資、阿部良之(プロ)を含む10名が先行、ラップ18分11秒71(時速39・6q/hのタイムで後続を2分離しての通過であった。

2周回以後も18分台のラップで6周回まで大きな変化がなくレースは進められた。
7周目ラップが19分に落ち一旦集団に吸収されたが、8周に入ると行成を先頭に菊田潤一、中島康博のプロ勢を含む8名が抜け出した。
意欲的に先頭を引いて行成は粘るが、集団も数十秒のビハインドを保ち追走していた。9周目先行のペースが上がり、6名が集団を2分30秒リードして後半の4周を迎えていた。

集団からは追い上げのアタックで藤田晃三が抜け出しかかっていた展開であった。
10周回になるとアップダウンの厳しいコース。各選手それぞれ個人差はあるが疲れがたまっていた状況で6名にうちプロの4名(藤野、三浦、橋川、阿部)の優勝候補に混じり、アマの真鍋、飯島がどのように終盤を走り抜くか、審判長車からの無線を受けて場内放送される情報にスタート/ゴール地点に集まっていたチームスタッフ、観衆は耳を傾けていた。

後続は先行集団のペースについて行けず徐々に差が開いていた。10周回の7q地点、コースがフェンスで囲まれトンネルになっている箇所がある。アップダウンが続いている区間。ここで阿部良之と藤野智一の2名がアタックに出た。

国内トップの選手の飛び出しに何とか追走を試みる真鍋とベテラン三浦を振り切り2名は逃げ体制に入った。懸命に真鍋先頭に追いかけるが捕まえられない。ラップは19分台に落ちていたが・・・何とか真鍋が2名を射程距離に捕らえての走行であったが、12周回、阿部,13周回藤野がラップを取って3名の争いとなった。

先頭3名以下は大きくバラケ、入賞を目指すのみの展開である。フイニッシュ手前の最後の登りを駆け上がり最初の姿を見せたのは藤野智一であった。

前年のジャパンカップで大金星の阿部良之届かず、記念すべき第1回全日本選手権は藤野智一が獲得した。

第1回全日本ロード成績(上位6名)
1位 藤野智一(ブリヂストン) 4h06m57s87
2位 阿部良之(シマノ) 4h07m10s
3位 真鍋和幸*(ミヤタ) 4h07m21s
4位 三浦恭資(EZAK)4h09m46s
5位 橋川 健(トスタイニコルナゴ)4h10m03s
6位 飯島 誠*(ラバネロ)4h12m31s

著者:南 昌宏

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