19:第14回全日本選手権ロードレース大会(2011年) 

1998年、プロアマオープンでの国内選手権として開催されてきたこの大会も14年目を迎えた。前年まで実に9回開催され常設会場であった広島森林公園特設コースから、公道レースとして2回目(前回は2001年北海道・大滝村)である

開催場所となったのは、岩手県と秋田県にまたがる八幡平の岩手県側、岩手山パノラマライン(市道一線)である。公道といっても市街地の通過はなく四面樹木に囲まれ、雄大な岩木山を望みながら八幡平温泉郷に通じる上り、下りの広い観光道路である。広島のコースに比べるとは変化が少なく単純なコースでフイニッシュ走行タイムも時速で約1〜2qアップされていた。したがって有力チームの選手が有利であるが、チーム力のない選手でも集団についていければ勝算があり、200qを越す距離、レース展開をいかに読んで走るかの戦いになると予想されていた。

2012年オリンピック前年の国内選手権、全国大会での実績が来年の選考大会出場参加資格の対象となるため、前年の成績から出場資格対象の180名の選手131名がエントリーしていた。
優勝を争うと見られていたチーム、選手は次の通りである。国内国際レースおよび海外大会で活躍のチームからはシマノ9名、ブリヂストン9名、愛三工業9名、マトリックス5名、宇都宮ブリッツェン8名、Nippo3名。海外チーム所属の選手でUCIポイント獲得者は単独でTeam Radio Shack別府史之、ファルネーゼ宮沢崇史、トレンガヌ・プロ・アジア福島晋一、EUROPCAR新城幸也の以上で出走選手のうち40%を占めていた。

=レース経過概略(シクリズムエコーを参照)=
気温20度、曇りの天候
出走は121名。6月26日(日)午前8時定刻スタート。
15・5qの周回コース13周、201・5qへの挑戦である。

パレード走行区間終了後、6qと移転で早くも6名が集団から抜け出した。
佐野淳哉(Nippo)阿部嵩之(シマノ)鈴木謙一(愛三工業)小坂光(宇都宮ブリッツェン)小室雅成・斉藤祥太(湘南ベルマーレ)である。佐野淳哉(2010年・実業団選手権優勝)以外には主だった選手はいない。有力チームのアシストおよびチーム力のない選手の抜け出しは集団を刺激しレース展開に活性化を与える。集団との差は一気に広がり3周終了では5分まで広がっていた。

メイン集団のエースの出番時期を見ている有力チームはまだ動かない。それならば自ら先頭に追いつき展開次第で先行してしまおうとチームメイトのいない別府史生が4周目の上り坂で踏み出した。これにシマノの村上純平が追走。6周最後の上りで先行グループに追いついた。

メイン集団はこの時点では3分ビハインドであった。別府は中盤の距離もまだ80q近くあったが、ここでメイン集団を引き離すべく単独でアタックを試みるが、他の選手が追走で抜け出せない。先行グループにいる有力チームシマノ、愛三、宇都宮の選手はチームのエースの集団待ちで当然前に出ないためである。集団との差は毎周着実に詰まっていた。7周では2分15秒、8周では約1分となり、逃げをあきらめた別府は無駄な動きをやめ、吸収を待つ走りに切り替えた。

10周目ブリヂストン、愛三工業チームが積極的にペースを上げ最後の上りで。ついにメイン集団は先行を吸収、レースは振り出しに戻った。残り3周の11周回に入ると、今大会優勝候補の一方の雄と見られていた新城幸也が単独で飛び出し逃げ切りを狙うが、最後の坂で捉まり、ラスト2周の展開が面白くなった。

12周回は最初のアタックは、佐野淳哉、福島晋一、清水都貴(ブリヂストン)増田成幸(宇都宮ブリッテン)鈴木譲(シマノ)のエース、準エース級の選手で抜け出すがここまでくると決まらない。すぐ捉まり、続いて奈良基(トレヌンガプロアジア)盛一大(愛三)伊丹健治(ブリヂストン)畑中勇介(シマノ)の若手勢がカウンターアタックに出るがこれも不発。その後も単独でアタックするバトルが繰り広げられたが、いずれも先行できずレースは集団で最終回に突入した。

最終回は各チーム、各選手お互いに牽制も入り、大きな動きなく勝負は最後の上りに入る3q地点に持ち越された。
フイニッシュ手前が登りになっているコースレイアウトで誰が抜け出すか、力勝負のフィナーレを制したのは、優勝候補筆頭の別府史之であった。列車編成でのゴールスプリントの聞かない個人の力だけの最後の争いは、5名(別府、新城、清水、西園、増田)で福島、西谷、鈴木(譲)は少し遅れていた。

今回、過去の優勝者6名出走していたが、4人目の全日本選手権2回優勝は別府史之が5年ぶりに獲得した。

2010年(平成23年)上位10名の成績 
1位 別府史之*(Team Radio Shack)   5“13:05   38.6q/h
2位 新城幸也*(EUROPCAR)         5“13:05   
3位 清水都貴*(ブリヂストン・アンカー)   5“13:05   
4位 西園良太  (シマノレーシング).     5“13:05   
5位 増田成幸  (宇都宮ブリッテン)     5“13:08   
6位 鈴木 譲 (シマノレーシング)     5“13:11   
7位 西谷泰治 (愛三工業レーシング)   5“13:18   
8位 福島晋一*(トレンガヌプロ・アジア).    5“13:22   
9位 井上和郎  (ブリヂストン・アンカー).  5“13:28   
10位 綾部勇成*(愛三工業レーシング).  5“13:30   


著者:南 昌宏

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