日本の自転車レースシーズンの開幕を告げる日本自転車競技連盟(JCF)主催
「チャレンジサイクルロードレース」の第34回大会が、静岡県・日本サイクルスポ
ーツセンター(CSC) でおこなわれた。このレースは非常に古い歴史があり、以
前は三月の最終週の日曜日に JCFの年度末に開催される「シーズンを締めくく
るレース」であったが、数年前より4月の第一週の日曜日開催に 変更し、シーズ
ン開幕レースにリニューアルした。

このレース会場である日本CSCは、日本で唯一の競輪学校と 一部施設を共有し
つつ、5kmロードレースサーキットや、こちらも日本唯一の250mトラック競技場な
どを持ち、 さらには遊園地や宿泊施設まである文字通りの「自転車の国」。
ここに日本中から、この開幕戦に集まってくるのだ。

女子のレーススタートは、男子のエリートそしてマスタークラスとほぼ同時刻の
午後二時。 当日の天候は晴天で、風のせいか気温が若干低いが、まずまず
のコンディション。桜もちらほら見える。 Ready Go JAPAN女子チームは午前中
から会場入り、JAMISテントを設置してこの日のチーム拠点として準備を開始。

RGJ所属選手がテントを目印に集まる。全員が集まったのを頃合に RGJ監督・
須藤大輔(写真:左)が、選手各自にレース前準備を指導しながらレース作戦を
指示していく。

傍らでは、メカニック・栗田氏(写真:右)が自転車の最終チェックをしながら、
選手と会 話しながら緊張をほぐす。 そしてスタート前の出走サインや、ウオー
ミングアップ を各自済ませたことを確認して、 レースコースに移動。RGJチーム
を応援いただ いている皆様とともにコース脇に陣取りスタート位置へ。

いよいよスタート定刻。下久保・武田両選手は高体連所属の出場指定のため、
高校自転車部でのウエア着用で スタートに立つ。堀、吉井、福本各選手はい
つものRGJ赤白ウエアで緊張した面持ちでスタート位置に。 RGJチームで固ま
ってスタートにいる。

そして、男子エリートから四分遅れで女子がスタートした! 女子は5kmサーキッ
トを4周=20kmの短いレース。しかしシーズン序盤ということもあり、出場各選手
ともに 非常に気合が入っている。

出場メンバーもなかなかの顔ぶれ。ベテラン西 加南子(チームコラテック)や
若手で力をつけている井上 玲美(チームコラテック)、そして昨年の北京五輪
代表枠を争っていたが、 MTBレース中の骨折で一時戦線離脱をしていた森田
 正美(チームブリヂストンアンカー)もこのレースで 復活してきている。ほかに
も多くの実業団やJCRCレースの出場常連選手が名前を連ねており、このレー
スでは 初のチーム参戦となるRGJがどこまで絡めるか展開が楽しみとなった。



スタート前のRGJ選手たち。
左1人おいてRGJ武田(高校自転車部の青ジャージ着用) 、
武田の右隣がRGJ福本



下写真:左よりRGJ吉井、堀、下久保(高校自転車部のジャージ着用)

スタート後は緩やかな展開であったが、2周回目に入る頃から、おそらくこのメン
バーが動くであろう、と思った メンツが先頭集団を形成した。その6名の先頭集
団にRGJ福本 千佳の姿がある。彼女はこのレースに初めての出場、 しかもこ
の日本CSCのコースを走るのも初めてという。しかし非常に落ち着いて集団の
様子を見ながら走っている。

福本は「スタート直後にクリートがはまらず、クリート をはめることに集中していて
、少し出遅れてしまいました!」 とゴール後に言って いた。しかし「その後、出直
して少しずつ集団の前の方まで上がり、 いつでも逃 げには乗れるよう待機し、
そして先頭集団6名に動きに反応できた」というから大 した落ち着きである。


2周回目にホームストレートに入る先頭集団。
一番右隅に小さく見える赤いジャージが福本選手

この後の2周目の二つ目の登坂でヨッシーこと吉井 例香選手が、まるでビデオ
の早送り再生を見るような速さで、 登り坂を走っている!思わずコース脇で全員
で大笑い!!こんな痛快な良い走りを女子レースでは 久しぶりに見た。

吉井は、前回の神宮クリテレースでクリートをはめ損ねて完走出来なかった「悔し
い思い」も 発散していたのであろう。でもムチャな速さは凄かった。福本の終始
冷静沈着な走りも素晴らしく、この二人の好対照 な走りで皆の声援が大きくなる
。しまいには、先頭集団もちぎって先頭にたって観戦者の集まるホームストレート
に 戻ってきた吉井と先頭集団内にいる福本の走りに、ひときわ声援を送るRGJ
ファン。

しかし、そんな吉井も3周回目には先頭集団に再び捕らえられた。さらにそこで
男子エリートが追いついてきて しまった。

実は、吉井は自転車の技術が体力に追いついていない状況。特に大きい集団
での走りを強化中のため、 男子エリートの速い展開に飲まれてビビってしまった
のだろう。そこに追い討ちをかけるようにチェーンが外れる。

「須藤監督にインナーに落とす時気をつけるように!と言われたばかりなのに、
チェーンを外してしまった。 けれど審判員がきてくれて困っている私を支えチェー
ンを直してくれた。 そして背中を押してもらい、がんばれ!追いつけるよ!と声を
かけられ再びスタート。 通りがかった男子二人も私の背中を押してくれた。本当
にうれしかったです」と ゴール後に言っていた。「たぶん自分一人だったらもうそ
こでダメになっていたと思う。陸上ではあり得ない 他の選手を助けるってことが
自転車レースではあるんですね」というこの助力で、 何とか立ちなおし一人で
先頭集団を追い続けた。


RGJ吉井玲香選手は、前回の神宮クリテでの
失敗を払拭する見事な走りで会場を沸かせた

一方で、このような激しい動きのあった先頭集団に最後まで喰らいついていた
福本だったが、残りあと僅かの ところで、先頭の森田・西・井上のゴールスプリ
ントに反応しきれずに脱落。しかし、最後まであきらめずに ゴールまで力を一切
抜かず、トップと17秒遅れの五位でゴールを果たした。

福本は先月3月の西日本チャレンジレース (広島県開催)の3位入賞に引き続く
金星と なった。その後に遅れて第二集団が迫り、吉井が8位でゴール。
そして、武田 和佳が13位、堀 友紀代が14位、下久保 初菜が20位でゴール
した。


ゴール直後に労をねぎらいあうRGJ福本(写真・左)と吉井(写真・右)
中央にいるのは、ベテラン選手志村みち子(エキップあずみの所属)


今レースで優勝したブリヂストンアンカー森田選手を
マーク するRGJ福本千佳選手の勇姿

まずは、とにかく皆が落車などのケガなく無事にゴール出来たことに胸を撫で下
ろしながら表彰の確認。 そうしたら「ジュニア部門の表彰も別におこないます」と
アナウンスをうけた。RGJチームにはジュニア対象である 18歳以下の選手が3名
もいるのだ。

慌てて再度確認すると、ジュニア女子で福本が優勝、武田が3位となっている!
表彰式には、表彰対象のRGJ二人を祝福するためにRGJチームの選手とスタッ
フが集合した。 写真撮影のリクエストに答える福本・武田両選手の笑顔にRGJ
チームからも大きな歓声があがった。


チャレンジ女子(A・F)レース表彰式。
前列左より二人目がRGJ福本、
同列一番右がRGJ武田(川越工業高校ウエア着用)

*第34回 チャレンジサイクルロードレース大会
期日:平成21年4月5日   
会場:日本サイクルスポーツセンター5km サーキット
33名エントリー・30名出走・27名完走

【競技結果/A-F】Distance: 20km StartTime: 14:02
順位  名前  ゴールタイム 時速 所 属 Laps+ TOPタイム差(M:S.00)
1位 森田 正美 0:40:11.25  29.86km/h チームブリヂストンアンカー00:00.00
2位 西 加南子 0:40:11.41  29.85km/h  ─── 00:00.16
3位 井上 玲美 0:40:11.60  29.85km/h チームコラテック00:00.35
4位 志村 みち子0:40:17.50  29.78km/h ラヴニールあづみの00:06.25
5位 福本 千佳 0:40:28.47  29.64km/h 履正社高校(Ready Go JAPAN)00:17.22
6位 星川 恵利奈0:40:56.20  29.31km/h 香川看護専門学校00:44.95
7位 西塚 優美 0:41:04.19  29.21km/h パールイズミスミタラバネロ00:52.94
8位 吉井 玲香 0:42:09.94  28.45km/h 筑波大学(Ready Go JAPAN)01:58.69
9位 明珍 裕子 0:42:20.35  28.34km/h 朝日大学02:09.10
10位 戸井 麻里子0:42:51.00  28.00km/h  ─── 02:39.75
11位 湯坐 香子 0:43:00.44  27.90km/h 修明高校02:49.19
12位 高島 真希子0:43:19.03  27.70km/h コ グ03:07.78 38
13位 武田 和佳 0:43:50.08  27.37km/h 川越工業高校(Ready Go JAPAN)03:38.83
14位 堀 友紀代 0:44:14.93  27.11km/h Ready Go JAPAN 04:03.68
15位 岩田 知夏 0:44:15.16  27.11km/h 北桑田高校04:03.91
16位 笠井 桃子 0:44:24.65  27.02km/h  ─── 04:13.40
17位 風間 千嘉 0:44:54.30  26.72km/h パールイズミスミタラバネロ04:43.05
18位 和地 恵美 0:45:57.21  26.11km/h たかだフレンドレーシング05:45.96
19位 青木 房江 0:46:02.84  26.06km/h  ─── 05:51.59
20位 下久保 初菜0:46:14.88  25.94km/h 北桑田高校(Ready Go JAPAN)06:03.63
※高校・高体連および大学・学連自転車部所属のRGJ選手は各学校名で表記

ジュニア上位順位
1位 福本 千佳
2位 湯坐 香子
3位 武田 和佳



RGJ女子チーム集合写真
右より松田 千裕、下久保 初菜、堀 友紀代、
吉井 玲香、福本 千佳、武田 和佳の各6選手、
およびRGJチーム事務局・須藤むつみ

撮影:蔵本珀、RGJチーム事務局
レポート:須藤むつみ

将来有望な若手も多く在籍するReady Go JAPAN女子チーム。
次のページでは、その中でも所属する高校生選手3名の活躍に焦点をあててみました。

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